地元の群馬県安中市松井田町にある通称めがね橋。
この廃線は地元で一番気にいっている場所です。帰郷すると必ず訪れます。
めがね橋は・・・
横川駅と軽井沢駅を結ぶ区間は、1891年に着工が始まり、1893年の4月に開通しました。
高崎駅と直江津駅を結ぶ信越線が、横川~軽井沢だけが未開通で急ピッチで工事が進められたため、500名以上の犠牲者が出たそうです。この峠のなかに鉄道を通すのに二年もかかっていないことに驚きました。この美しい煉瓦積みのアーチ橋は、たった8カ月で完成させたそうです。下には碓氷川が流れており、そこから31mもの高さがある日本で最大のものらしいです。橋梁は第二橋梁から第六橋梁までの五基が残っています。これらは国の重要文化財に指定されています。
真下から見上げた橋梁
橋の上は、横川駅から続いている遊歩道の到着地点。アプトの道と名付けられています。
ここがアプト式だったのは、水平距離が約9.2㎞に対し高低差が553mという驚きの高低差を結んでいる区間だったのです。しかし、アプト式では需要に対応するには限界がでてきました。
そのため、複式、粘着方式の新線が完成しました。めがね橋から見える新線の廃線。アプト線と変わらず新線も急勾配だったので、峠を越えるために電気機関車EH63が開発されました。制限速度の38㎞/hを越えてしまうと、列車を止めることができなかったようで、乗務員が重軽傷を負う事故も起こっています。
以前はトンネルの途中まで入れた、第四橋梁に続くトンネル。今は立ち入り禁止になっており、このすぐ横におじいちゃんのガイドさんがいて、めがね橋の歴史を説明してくださいます。
今、めがね橋は世界遺産登録を目指しており、峠の至る所を整備しています。
谷にうつる橋梁の影。
下に流れるのは碓氷川で、ここを登って行くと水源に辿り着きます。
年月が経つにつれて煉瓦の色がますます美しくなっていきます。
この煉瓦を積み上げた人々の思いが偲ばれます。
本人たちにしてみれば、ここを訪れた記念なのでしょうか。
確か第五橋梁。
先が見えないトンネル。中はとてもひんやりしていて、何があるかわからない恐怖心と高揚感がわいてきます。
煉瓦の状態はとてもいいです。
中に入れたらなんて素敵なことでしょうか、一人だったので万が一のことを考えると入れませんでした。この場所は、重要文化財に指定されていません。
この廃トンネルは少しずつ自然に侵食され、土に還っています。でも、そうなっていくことに美を感じますし、光と影がより美しく演出してくれるのです。
一度めがね橋までトロッコ電車を走らせたいと市民の要望があったのですが、老朽化と安全の保障ができないため、市長によって却下されました。
長野新幹線が開通した時も、横川軽井沢間を廃線にすることを反対する声が多かったそうです。夏は新緑が、秋には紅葉が美しくとてもロケーションのいい場所なので廃線になってしまったことが、今更ながら惜しまれます。昼間は野鳥の声が聞こえてきたり、碓氷バイパスよりも情緒があります。